「自分」と「他人」の境界

胎内から外に出て、自分と他人、善と悪、美と醜といったように、あらゆることに境界線を引く壮大な旅が始まるそうです。「自分」が一個の独立した存在であるという顕在意識が、無意識にそうさせるのでしょうか。

「自分」を独立した一個の存在であると考えるとき、他人と比較することでさまざまな苦しみが伴うようになります。「自分は自分」と理屈ではわかっていても、他人と比較して自分もよりよい「条件」を揃えたい衝動に駆られます。常に「何かが足りない」という渇望感が芽生えてくるのでしょうか。逆にいうと、独立した存在であると考えるが故に、成長しようという気持ちも育つのかもしれません。

いずれにしても、「境界線を引く旅」は生きている間だけでしょうから、そのことを存分に味わっていきたいと思います。