山の精霊

以前、峠道を車で走っていたとき、突然右前方の木々の中の土が盛り上がり、3つの塊となって、車の前を左に通り抜けていきました。ものすごい勢いだったので、ついに山の精霊にでも遭遇してしまったのだろうかとびっくりして、あわててブレーキを踏みました。


土の塊の正体は、親子のイノシシでした。一番先頭に親イノシシが駆けていき、2匹の子イノシシがあとについていきます。親イノシシは傍目にも近づけなさそうな雰囲気を漂わせていましたが、子イノシシは一生懸命親にはぐれないようにしているみたいで、一番うしろの子イノシシはときどき足を滑らせているようでした。

最近、鹿や猿が里山を荒らしていて、私自身もよく見かけるようになりました。猿にいたっては、ちょっと家を留守にして帰ると、家の屋根に上り、泰然自若とした風情で人間のつくった農作物を食べていたこともありました。


今まで、捕まえられたイノシシは何度も見たことがありますが、山の中を風のように駆けていくイノシシを見たのは今回が初めてでした。本当に、土の塊が突然動き出したような感じでした。


先日、薄暗い時間帯に山道を歩いていたら、目の前を茶色系の動物が通り抜けていきました。でも、足音は全く聞こえませんでした。あれも、山の精霊だったのでしょうか。