鎮守の森に住むキツネ

父の喪中が明けたこともあり、久しぶりに地元の神社でお参りしました。


神社に向かって鬱蒼とした木々の中を登っていくと、突然目の前に茶色い物体が横切りました。私は思わず身を縮めてしまいます。でも、その動物は、私の前を横切っただけで、こちらに向かってくる気配はありませんでした。すぐに姿を消してしまい、また静かな森となりました。


落ち着きを取り戻した私は、あの動物が何だったのかを一生懸命考えました。ときどき里山に現れる鹿や猿、猪でないことだけは確かです。また、タヌキのような丸みを帯びてはいませんでした。オオカミのような気がしましたが、オオカミは絶滅しているはず…


考えられるのは、犬かキツネですが、犬でもなさそうです。野生動物の強くて硬い毛に覆われているのを確かにこの目で確認しました。もちろん首輪はしていません。さっと横切っていった動きは、明らかに野生のものです。野良犬が野生化したことも考えられますが、すっとした顔、細くて長い足、見慣れない大きさなどを思い出すにつれ、やっぱり犬でもなかったように感じます。


私は今まで見たことはありませんが、野生のキツネだったように思います。目の前を横切った瞬間はビクッとして足が竦んでしまいましたが、思い出すにつれ、何か神々しさを感じずにはいられなくなりました。引き締まった顔立ち、すらっとした四本足、ピンと立った両耳…。毛の色は確かに茶色でしたが、やっぱりお稲荷さんを思い出します。


お稲荷さんが、野生のキツネになって鎮守の森に姿を現してくれたのでしょうか。それとも、もともと鎮守の森に住んでいた野生のキツネが、お稲荷さんとして神格化されるようになっていったのでしょうか。


横切った瞬間はビックリしましたが、すぐに静けさを取り戻した森の中を、清々しい気持ちで歩いていきました。