66年前と26年前の赤い空

歴史的な出来事がどのくらい前かをイメージする方法として、大きく二つのことが挙げられると思います。


一つは、「現在」を基準としてイメージしていく方法です。第二次大戦の終結が1945年ですから、「今年で」66年前ということになります。「今年で」という尺度で見ていくと、歴史の大きな出来事は、一年経過するごとに遠ざかっていきます。そのため、歴史的に重大な出来事が徐々に風化してしまう危険性がありますが、それでも「今年で」という尺度は誰にでも共通のものであるため、ほとんどの場合において、この基準が用いられているかと思います。


そしてもう一つは、「自分の生まれた年」を基準としてイメージしていく方法です。たとえば、第二次大戦の終結した年は、「私の生まれた年から」26年前です。それは、私が10歳になっても、20歳になっても、40歳になっても、「私の生まれた年から」という基準で見ると、ずっと変わることはありません。逆に言うと、実際に自分自身が生き続けることで、「26年前」という時間距離が、現実感を伴って近づいてきます。10歳で感じた「26年前」と、40歳で感じる「26年前」とでは、40歳のときのほうが、はるかに現実感を伴って私に近づいてきます。


「たった26年前」「わずか26年前」「ほんの26年前」というような捉え方になっていくのがわかります。自分の生まれた年を尺度にすると、人それぞれ基準が異なる上、その感じ方も人それぞれで異なるでしょうが、それでも現実的な感覚を植え付ける方法として、とても有効な基準ではないかと思います。


「今年で」66年前の今日、「私の生まれた年から」26年前の今日、祖母の話では、「朝なのに、西の空が赤くなってやらしかった(不気味だった)」そうです。その出来事は、一年一年遠ざかっていきます。しかしながら、自分自身の生まれた年を基準にすると、私も今年で40年生きたことになりますから、自分自身の感覚では、依然よりもはるかに現実感を伴ってその話に耳を傾けることができそうです。


自分自身、一年一年、年を重ねるごとに、歴史をより身近に感じながら学んでいきたいと思います。