日本シリーズとノムさん

昨日は、日本シリーズをテレビ観戦しました。その日はたまたま野村克也さんの解説だったので、興味深く聞いていました。王さんが現役を去ってから、どこか特定の球団を応援しているわけではありませんので、昨日もどちらかのチームを応援するというわけではなく、熱戦になることを期待して見ていました。


ノムさんの解説は、やっぱり面白いと思います。盗塁のスタートが良すぎる状況を見て、「このピッチャーは1球牽制したら同時に2球は牽制しない、というデータをつかまれているんじゃない?」のように、素人目には気づかないことを指摘してくれます。


極めつけは、試合が終わってからの解説でした。昨日の試合は終盤で一方的なゲームになってしまったためか、最後のほうはノムさんの解説をあまり聞くことができませんでした。でも、最後の最後で、ソフトバンクの選手と孫オーナーがうれしそうにグランドで握手をしていたとき、はっとさせられる解説をしていました。「これなんですよ、今年のソフトバンクの強さの原因は」。私は一瞬何をおっしゃっているのかよくわからず、ポカンと聞いていましたが、そのあとの解説で「ああ、そうか」と反省させられました。


「私は50何年間かプロ野球に携わってきましたけど、こうやって試合後にグランドに出てきて選手と喜びを分かち合うオーナーの姿は、今まで一度も見たことがないですよ」


問題意識を持って真剣に物事を見ている人と、問題意識を持たずに物事を見ている人との差は、かなり大きいようです。ノムさんと同じレベルで物事を見ることはできなくても、自分自身の置かれた立場で「何かを掴み取ってやろう」という真剣な意識を持ち、それを実行し続けることができるかどうかが重要であると思います。昨日の孫オーナーの姿に対する私の率直な見方は、「ああ、今日は孫さんもうれしいだろうなあ」というくらいにしか見ていませんでした。「うれしいだろうなあ」と自分がぼーっと見ていたまさにそのとき、ノムさんの鋭い解説があったので、大いに反省させられました。


真剣に見ている人は、いろいろな視点を持っているようです。今の自分自身には、その奥深さが足りません。孫さんほどの忙しい人があえて球場に足を運び、時間を割いて選手と喜びを分かち合うことの意義を、まったく感じることができませんでした。やっぱりまだまだ私には、「真剣さ」が足りないようです。昨日は日本シリーズのテレビ観戦を楽しむために見ていただけなのですが、ノムさんの解説で、大いに反省するきっかけを与えていただきました。