2011年について

私自身、今年は特別な一年でした。もちろん私だけでなく、多くの人にとって、2011年は特別な一年だったのではないかと思います。


3月11日、東日本大震災に遭い、良くも悪くも「地球が生きている」ことを実感させられました。震災直後は、東北地方を襲った大津波について、何が起こっているのかを知ろうと、ニュース番組から目を離さずにいることができました。でも最近、特集番組などで放送される大津波の映像を見ると、あまりの恐ろしさに思わず目を背けてしまいたくなります。


福島の原発問題が発生し、「計画停電」を体験しました。こちらも、良くも悪くも「エネルギーの大切さ」を痛切に思い知らされました。原発問題が発生した直後は、何もできない自分自身であるにもかかわらず、風評被害が拡大しないか本気で心配しました。しかしながら、福島原発問題の真実が徐々に解明され、実はメルトダウンが起こっていたことを知りました。首都圏に住む自分自身でさえ、実は強制避難させられていたかもしれないことを知り、後になって背筋の凍る思いをしました。


最近、故郷から強制退去させられる夢を見ました。のどかな故郷の風景は何一つ変わらないのに、物々しい自衛隊の車があちこちで目につきます。どこかに隠れようとしてもすぐに見つかってしまい、私は何も悪いことをしていないのに、そこにいること自体を否定させられます。このような夢を去年までに見たとしたら、「SFのような現実離れした夢だったな」という思いで安心して目覚めることができたでしょう。でも、これは実際に福島で起こっている現実であることを目覚めたあとに理解し、本当に恐ろしい状況に直面し続けていることを実感させられました。


震災直後、東京のいろいろなお店の棚に「食品」がすべて消えてしまいました。こんな光景が、突然目の前で現実に起こることを理解することができませんでした。実際、3月11日15時前に大震災が発生したのですが、18時頃食料品を買いに行こうとコンビニやスーパーに入ったとき、ようやく事の重大さに気づきました。本当に、食料品がすべて消えていたのです。普段は「日本の食料自給率が低いのは、捨ててしまうくらい余分な食料品を輸入しているからではないか」と薄々思っていたのですが、このときばかりは、お店の棚にあふれるばかりの食料品が並んでいる「普段の生活」を、どれほど有難いことなのか思い知らされたことはありませんでした。


大震災後も余震は続き、何度も怖い思いをしました。今でも地震が発生したら歩いて帰る覚悟はしているつもりですが、それでも危機感はかなり薄れてきています。そして、震災直後は「こうして健康で生きていられること以上に幸せなことはない」」と思い知らされたものですが、今では些細なことで苦虫をつぶしたような顔をしている自分がいることに気づかされます。「我々は覚悟が足りない」という言葉が響いてきます。私自身、まったく「覚悟」が足りないのだと思います。


2011年に経験した一つひとつを、決して忘れないようにしたいと思います。そして2012年をよき一年にできるよう、「覚悟」を持って目の前の現実に向き合っていきたいと思います。


「2012年が、良い一年になりますように」