週90時間

スティーブ・ジョブズ氏が若い頃、毎週7日間(毎日)、14時間から18時間ぶっ通しで働き、それを2〜3年続けてマッキントッシュを開発したそうです。


「週90時間、喜んで働こう」と事務所の黒板に書き、チームメンバーのやる気に火をつけました。その当時のジョブズ氏は、労働時間が「週80時間」を切るような人は落ちこぼれだとみなしていました。もちろん、「労働時間」に関しては慎重な発言をするべきなのでしょうが、あれだけの天才でも、実はものすごく働いていることを象徴するエピソードです。逆に言うと、誰かに強制されずにそれだけ働けることこそが、天才たる所以なのでしょうか。


このエピソードを聞いて、少しほっとする人がいるのも事実ではないでしょうか。あれだけの素晴らしい商品やサービスを打ち出すためには、思いつきのアイデアだけで成し遂げられるものではない。命を削った仕事を積み重ねて初めて、世の中を変革する商品やサービスを世に送り出すことができる。その事実は、日々、一生懸命働いている人に勇気を与えているような気がします。


もちろん、一生懸命働いても、世の中に変革をもたらす商品やサービスを打ち出せないことのほうがはるかに多いことも現実です。ただ、少なくともあれだけの天才が、それだけ働いてきたことは、真摯に受け止めるべきだと思います。


さらには、私自身、「何時間働いたか」を気にしている時点で、何かが足りないと反省します。本当は、「何時間働いたか」ではなく、「時間が経つのも忘れるくらい働いたか」が大切なのでしょう。それだけ情熱を傾けることができるかどうか、そのスタート地点に立つための便宜として、「週90時間、喜んで働こう」というスローガンがあったのかもしれませんね。