永世七冠のコメント力

将棋の羽生さんが、国民栄誉賞を授与する方向で検討に入ったとされるニュースに対して、求められたコメントが秀逸だったと思います。


「検討していただけること自体、光栄なことです」


将棋は、一手指すと、次は相手が一手指します。つまり、自らが一手指してしまえば、次は相手の一手が指されるまで、じっと待っていなければなりません。今回のコメントも、「素晴らしい一手」だったのではないかと思います。


このコメントによって、検討委員会が授与するにしても、見送るにしても、どちらの「一手」を打っても救われることになります。自らを謙遜し、相手を思いやる素晴らしい「一手」だったのではないでしょうか。


また、羽生さんが「モチベーションは、お天気みたいなもの」とコメントしていたようですが、これも感じ入りました。羽生さんのような人でも、「モチベーションを常に最高に保つことは難しい」とわかりました。そのことで、少し救われたような気がしますし、一方で、それでもこれだけの実績を積み上げ続ける人が存在していることに、襟を正さなければいけないとも思います。