師弟対決

先日、公式戦で藤井聡太六段と杉本昌隆七段の対局がありました。千日手のあとの指し直しで、藤井六段が勝利し、大きな話題となりました。


今回の対局で、藤井六段以上に注目されていたのは、杉本七段のほうだったのではないでしょうか。その人柄の良さがテレビ画面から伝わってくるようで、杉本七段の人気もうなぎ登りのようです。やはり私たちは、結果だけではない何かを大切にしようとするところがあるのかもしれません。


杉本七段は、藤井少年と初めて練習対局をしたとき、「この子には、技術指導はしないほうがよい」とすぐに感じ取ったそうです。その後、どのような対応をされたのかは知りませんが、おそらく成長できる環境を整え、見守り続けてこられたのではないでしょうか。


杉本七段は、藤井六段という才能と巡り合ったことに「感謝したい」と仰っていました。きっと藤井六段も、よき師匠と巡り合えたことに感謝しているのではないでしょうか。お互いがお互いの出会いを幸運と思えるのは、とても羨ましい関係性です。


杉本七段は、藤井六段の強さについて「技術的なことはもちろん、精神的にも強い」と仰っていましたが、きっと杉本七段も精神的な強さを持っているからこそ、そのようなお話ができるのではないかと思います。


感想戦の途中で杉本七段が、「あれ。あれ。明日、学校だっけ?」と仰り、途中で切り上げて二人で帰宅の途についたエピソードが印象的でした。今回の師弟対決は、将棋の神様が、杉本七段に差し出した贈り物のように感じ取った方は多いのではないでしょうか。