ホッキョクグマの足音

星野道夫氏の本の中に、確か次のようなことが書いてあったと思います。


「自分自身が日常生活の忙しさに振り回されているとき、同時に、餌を求めて北極の雪原を歩いているホッキョクグマが生きていること、そしてその足音が北極の片隅で響いていることを忘れないでほしい」


このようなお話を聞くと、自分自身、いかに狭い世界で生きていたかを反省します。直接自分自身に降りかかってくることばかりに気持ちが振り回され、遠くのどこかで、遠くの誰かが生きていることが、全く見えなくなっています。


「揺れ続けない心」が大切だと聞きます。誰でも、他人との接点の中で感情的になり、「揺れた心の状態」に陥ることがあると思います。でも、振り子の揺れがおさまっていくように、揺れた心の状態をなるべく早くおさめ、いつもの自分自身のあるべき心の状態に戻すことが大切だということのなのでしょう。


「揺れた心の状態」になっていると、遠くのものが見えなくなります。そして、悪しき行動に出てしまいがちです。もともと自分自身の心はそんなに強くないと自負しているし、それはおそらくどうすることもできないと思っているので、それよりも心が揺れた後に、いかに速やかにもとの状態に戻していくかを努力していきたいと思います。そして、自分自身の生活に直接降りかかってこないような遠くの場所で、遠くの誰かが同時進行で生きていることに思いを馳せることができるような広い世界を開拓していくことができればと思います。