名古屋駅付近の看板

新幹線で東京駅から名古屋駅まで定期的に行っています。そのため、最近では新幹線から見える景色にあまり注目していませんでした。


「まもなく名古屋駅です」というアナウンスが流れ、降りる準備をしながら何気なく窓外の景色を見ていたところ、将棋の駒を大きく映し出した企業の広告看板が目に入りました。


名古屋における藤井七段の人気は、ひときわ高いことが容易に想像できます。そもそも将棋の駒を大きく映し出しているだけで、藤井七段のことには一切触れられていませんでした。それでも、「名古屋、将棋の駒」というだけで、すぐに藤井七段を連想させてしまうのは、やっぱりすごい影響力なのだということがわかります。


先日、八段に昇段するための規定が改訂されることがニュースとなっていました。「竜王位1期獲得」「順位戦A級昇級」「七段昇段後公式戦190勝」というそれまでの昇段規定に、「タイトル2期獲得」という規定が追加されたということです。日本将棋連盟は、藤井聡太棋士の七段昇段とは一切関係ないとコメントしているそうです。


もちろん、藤井七段という一棋士のために、歴史ある連盟の規定が易々と変更されることはあり得ないことでしょう。でも、「規定改訂」という発表自体が藤井七段を連想させ、「規定改訂」という地味な内容の記事が大きく取り上げられるのも、やはり藤井七段の影響力あってのことなのでしょう。


藤井七段の3倍以上生きている者の立場として発言させていただくとするなら、今後の藤井七段の大きな課題はたった一つのことに尽きると思います。それは、羽生竜王のように、長く第一線で活躍し続けることができるかどうか、言い方を変えれば、現在の将棋に対する愛着、「好きと思える素直な気持ち」を持ち続けることができるかどうかにあるということです。


羽生竜王をはじめ、将棋のトップ棋士から見てもすでに実力は相当高いとされていますので、あとは「継続力」さえあれば、自然と「タイトル2期獲得」という結果はあとからついてくることでしょう。もとより、藤井七段本人からすれば、昇段に対するこだわりは、周りの大人が話題にするほど強くはないのでしょう。


今後もぜひ、目の前の一局に集中して、将棋を楽しみつつ、継続して将棋に打ち込んでいただきたいと思います。名古屋駅を降りつつ、自分自身も「目の前の一局」に集中せねば、と反省しました。