お帰り 寅さん

この年末年始で見たかった映画、「男はつらいよ お帰り 寅さん」。ようやく見に行きました。満男はすでに結婚して娘もいるのですが、奥さんが病気で亡くなり、七回忌の法要で柴又の家にみんなで集まるという設定です。

 

満男が小説家になったのも、伯父の寅さんと正面から向き合うためだったのでしょう。映画のクライマックスでは、寅さんの懐かしい場面やマドンナたちが次々と画面に現れるのですが、不思議と涙が溢れてきます。寅さんに励まされた過去が蘇ってくるからでしょうか。

 

寅さんの魅力を初めて知ったのは、NHKの番組でした。それは阪神淡路大震災の被災者を、青空映画で放映された「男はつらいよ」の寅さんが励ますという内容でした。その縁もあり、実質的な最終回の48作目では、寅さんが阪神淡路大震災の被災地へ実際に行って励ます場面がありました。

 

その番組が放送された頃、私は会社員を辞め、まさにフーテン状態でした。今の言葉で言えば、ニートです。起業しようと思ってはいましたが、一歩を踏み出せず、実態はまさにフーテンでした。だから、時間だけはたっぷりあった。柴又へ行き、寅さん記念館でDVDセットを買って、1作目から49作目まで何度も何度も見ました。

 

仕事のある人からすれば、ずいぶんと楽で暢気な生活と思われるでしょうが、会社員を辞めてから私の本当の苦しみが始まったような気がします。「東京で、自分は独りぼっちなんだな」と痛感しました。精神的に不安定な状態となり、パニック障害を引き起こしました。一人で部屋の中にいると、鍵穴から誰かが覗いているような錯覚を覚えることもありました。

 

そのような状態の私を、励ましてくれたのが寅さんでした。「いいんだ、いいんだ。自分に正直に生きればいいんだ」と、映画の寅さんはその頃の私に話しかけてくれたような気がします。

 

今ではパニック障害の症状はかなり改善され、前向きに生きていこうとする気持ちを持ち続けています。だから、この映画を見ること自体楽しみだったのですが、同時に寅さんへ感謝するため、映画館へ足を運んだ気もします。そのような人は、きっと多いのではないでしょうか。

 

どん底だった頃の私を励まし続けてくれた寅さん、本当にありがとう。