5連敗

藤井聡太二冠が先日のJT杯でも豊島将之竜王に破れ、これで対戦成績は公式戦5連敗となりました。

 

なぜ豊島竜王に5連敗したのか、豊島竜王のコメントをもとに私なりに整理してみたいと思います。

 

ネットニュースによると、豊島竜王は「(5連勝のうち)最初の頃は正直、まだ余裕があった。でも、ここ数局はギリギリの戦いだった」といった内容のコメントをされたようです。つまり5連勝のうち、最初の2〜3局は実力的に豊島竜王が上回っていたということでしょう。

 

では、直近の2〜3局はなぜ豊島竜王に連敗したのか。豊島竜王は「連勝しているので相性がいいのかもしれません」とコメントされているようですが、そこに何か大きなヒントがあるように感じました。

 

藤井二冠が豊島竜王と対局する際、「そろそろ勝たなければいけない」という焦りが無意識のうちに高まってきているのではないでしょうか。深くて鋭い読みを入れる藤井二冠ですが、おそらく豊島竜王は藤井二冠の読みにない手を指す傾向にあると想像され、そんなとき「今回は勝たなきゃ…」という気持ちがわずかでもあるとますます焦ってしまい、悪手・緩手につながるのかもしれません。

 

だからこそ、元メジャーリーガー・イチロー選手のマインドセットを見習うべきではないでしょうか。対戦成績で部の悪い投手のことを聞かれたイチロー選手は、「彼は苦手な投手ではありません。僕のバッティングの可能性を引き出してくれる素晴らしい投手です」とコメントされたようですが、今の藤井二冠はまさにそのマインドセットを取り入れるべきです。

 

難しい局面へと導く豊島竜王は、藤井二冠の可能性をさらに広げてくれる素晴らしい棋士です。だからこそ、豊島竜王との対局では結果にこだわらず、「また自分の可能性を引き出してくれるかもしれない!」と、大いに楽しみながら戦いに挑むべきではないでしょうか。

 

例え豊島竜王に10連敗しても、しばらくは勝敗にこだわらず、そのようなマインドセットで戦うことができれば、今後ますます藤井二冠の強さに凄みが増していくものと想像します。