「ハリネズミのジレンマ」という逸話があるそうです。寒い日、お互いを温めあうために二匹のハリネズミが寄り添おうとしましたが、それぞれの針が相手を傷つけてしまいました。そのため、一旦は離れることにしたのですが、やはり外は寒い。そこで、またお互い近づこうとすると、やっぱりそれぞれの針が相手を傷つけてしまいます。そのようなことを何度も繰り返し、ハリネズミは、ようやくお互いにとって快適な距離感を手に入れていく、という逸話です。
もちろん、これは人間のことを比喩的に表した逸話なのでしょう。確かに人間も、それぞれ「針」を持っているようです。その小さな「針」が、相手に不快感や嫌悪感を与えてしまいます。それでも、時に「癒し」を与えることができるのもまた人間だと思います。
先日、ある人にあいさつをしましたが、何も返事が返ってきませんでした。そういう些細なことを、意外と人は覚えているようです。私も「あの人にあいさつしても返事がなかった」ということを知らず知らず覚えていました。そのため、次にその人と会った際、あいさつするべきかどうか一瞬躊躇しましたが、今度は相手のほうから、いい笑顔であいさつを返してくれました。
その場その場で、腹の虫の居所が悪かったり、上の空であったりして、意外と多くの人に対し、小さな「針」を突き刺しているのかもしれません。そうなると今度は自分が相手から「針」を突き刺されることを覚悟しなければいけないのかもしれません。
一方で、「癒し」を与えることもできます。相手に小さな「針」を突き刺されても、こちらは「針」を返さないことだけで、実は相手に対して「癒し」を与えていることもあるのかもしれません。もちろん、それを実行するには、まだまだ自分自身、修練を積んでいかなければなりませんが。。