再生可能エネルギー

10年ほど前、「いずれ再生可能エネルギーを中心とした電源構成にならざるを得ない社会が来る」と思い、再生可能エネルギーを広めるためのサービス、営業支援等を中心に事業をしていこうと思っていた時期がありました。でも、すぐにとん挫しました。


もちろん、私の実力不足がすべての原因ですし、ご協力いただいた企業のお力になれず、残念な結果に終わってしまいました。ただ、当時の日本、当時の世界では、とても「再生可能エネルギー」が受け入れられる世の中ではなかったと思います。


この10年の間に、日本では東日本大震災が発生したことから、原子力の構成比率が一気に減少し、その穴埋めを化石燃料で補うことになりました。今後は、徐々に原子力の構成比率をもとに戻していこうとする動きもあるようです。


原子力発電は、「やめた」といっても核燃料を簡単に処分することはできませんし、発電しなくても安全を維持するためのコストがかかり続けます。「発電しなくても膨大な維持コストがかかるなら、発電すべきではないか」という論理も成り立つと思います。でも、福島の事故を目の当たりにした私たちからすれば、そんなに簡単な議論で決着をつけてよいのかという思いもあります。原子力発電については、今後も重い課題を突き付けていくことでしょう。


問題は、化石燃料です。先日、NHKの番組を見て、「世界がこんなにも動き出している」ということを思い知らされました。習近平氏は、「中国が、エコ社会のリーダーになる」と話していました。実際、中国の太陽光発電企業が力を伸ばしているようです。また、再生可能エネルギーに対して積極的な取り組みをしない限り、世界のバリューチェーンからつまはじきにされる社会が到来しつつあるようです。ある日本企業の重役は、「それは1年後か、2年後くらいにやってくるかもしれない」と話しておられました。


日本にいると、そのような動きが感じられません。日本の送電網システムの問題が大きくのしかかっているものと思われます。でも、特定の企業を非難しても何も始まらない。送電網システムを運営する企業からすれば、運営側にしか見えていないさまざまな課題があるはずだからです。


問題の根本は、世界における電気自動車、再生可能エネルギーの動きから見えてくるように、「技術が間に合うかどうかではなく、採算がとれるかどうかでもなく、決断するかどうか」がすべてであると思います。そういった意味では、日本の決断力が迫られている時期にあるのかもしれません。


ただ、前進する機運が通り過ぎたあとには、揺り戻しの時期が来ることも実感します。現在は、世界の潮流と日本の揺り戻しの時期が、うまくかみ合っていなかったと考えることもできるかもしれません。


そのように思いながらNHKの番組を見ていたのですが、自分自身、「決断することは難しい」ということも日々実感しています。やっぱり、無駄なお金は使いたくないし、年齢を重ねれば重ねるほど、「変化」に対する許容度が、無意識のうちに落ちてきているようにも感じます。そのことを反省しつつ、なかなか「静かな心」になれないことも反省しつつ、2017年を過ごしていきたいと思います。