企業の価値

最近読んだ本の中には、「企業価値」として大きく三つのことが考えられると書いてありました。一つ目は「事業価値」。二つ目が「人材価値」。そして三つ目が、「顧客価値」です。企業の価値は、これら三つの総和によって図られるべきであると書いてありました。


「事業価値」とは、一言で言えば、その事業が世の中にどの程度役立つものかどうか、ということでしょうか。つまり、事業領域の社会に対する貢献度ということが想定されます。

「人材価値」とは、一言でいえば、その企業に属する人材が世の中にどの程度役立つ事業を創造し得るかどうか、ということでしょうか。つまり、人材の社会に対する貢献度ということが想定されます。

最後の「顧客価値」とは、一言でいえば、その企業の事業や人材を通して世の人々にどの程度貢献し得るかどうか、ということでしょうか。つまり、企業の顧客に対する貢献度ということが想定されます。


もちろん、三つともそれぞれ不可分なものであるため、明確な区切りはできないでしょうが、一番大切な視点は「顧客価値」ではないかと書いてありました。「世の中のため」と言うと、どうしても漠然とした対象になってしまうが故に自分勝手な解釈が入り込んでしまう余地があると考えられます。


しかし、「顧客のため」となると、顧客の評価がすべてですから、これはなかなか自分勝手な後講釈が許されないことです。企業は、漠然とした「全体」に対する貢献はもちろんのこと、具体的な顔を持つ「人」に対してどの程度貢献しうるかによって評価される、という視点を持つことが大切だということなのでしょう。


確かに「世の中」というと、心地よい言葉でありながら、しかもあまり自分自身の責任が明確化されないという安易さもあって、ついつい簡単に使ってしまいそうですが、「世の中」というときには、具体的な顔を持つ「人」のことも想定しながら、事業に打ち込んでいく必要がある、ということなのでしょうね。