2000万円の衝撃

金融庁の報告書による「老後2000万円不足問題」ですが、一般的には新鮮なデータを提示したのではなく、年金制度における共通認識としての前提を伝えたものとされています。

 

今までこの事実があまり大きな問題になってこなかったのは、ある前提があったからではないでしょうか。

 

それが退職金です。「定年まで勤めれば2000万円程度の退職金が出るはずなので、定年退職後は退職金と年金で生活してください」という隠された前提があったものと思われます。

 

退職金には退職一時金と企業年金があるようですが、話を簡単にするためにザックリと退職給付額をネット検索してみました。それによると、上場企業や国家公務員の退職給付額は2400万円程度、東京都の中小企業が1400万円程度とありました。東京都以外の中小企業の平均額はわかりませんが、おそらく東京都の中小企業の平均額よりも少ないものと思われます。

 

私自身、将来に対する漠然とした不安な気持ちは、このことにも大きな原因があったと理解しました。つまり、定年退職金のない仕事人生を選択したために、定年という概念が当てはまらないかわりに、「収入がなくなったらどうしよう」という不安感が、年齢を重ねるにつれて大きくなっていきます。

 

退職金のない人は、この事実を相当真剣に受け止めなければいけないのでしょう。そしてこの問題の重要なポイントは、2000万円も退職金を受け取れない人の割合が、今後ますます増加していく可能性があるということではないでしょうか。

 

この危機感を、仕事を前向きに取り組むための補助線とすることができれば、と思います。