ビジネスと出会った瞬間

最近読んだ本の中に、面白いエピソードを紹介するものがありました。

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子供のとき、同じクラスの子の家に遊びにいったら、一目でその家庭が貧しい生活をしていることに気づき、衝撃を受けました。どこか遠くの国で貧困に苦しんでいる子がいるというのではなく、自分のクラスの中で貧困に苦しんでいる子がいるということが信じられない出来事でした。

それ以来、「貧困や不幸から脱却できる世界をつくっていく」ことを自分自身の使命と据えて、一生懸命勉強しました。そして、就職活動の時期になり、世界的な公共財団で働くものと思い込んでいた私は、その財団の入社基準に「社会人経験が10年以上あること」という項目があることに気づき、愕然としました。

思い直して、社会貢献を重視した企業に就職することに方向転換し、ようやくある百貨店に就職先が決まりました。私の最初の配属先は、婦人靴売り場だったのですが、そこで飛ぶように売れている商品に、またも愕然としました。それは、外反母趾に苦しみながら履き続ける「粗悪品」ともいうべきものだったからです。

なぜ、お客様はその商品を買い続けるのか。私は、その商品を売り続けてもいいのだろうか。自分自身にさまざまな理由づけをして、抵抗感がありながらも売り続けていったわけですが、あるとき、お客様がとても「幸せそうに」その商品を買っていく笑顔に気づきました。そのことこそ、自分自身の使命に沿ったことだったのではないだろうか。ひょっとしたら、私の「粗悪品」という考え方自体が間違っていたのではないだろうか。お客様があんな笑顔になれる商品の魅力に、どうして今まで目を向けることができなかったのだろうかと、そのときになってようやく反省することができました。
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彼女はその後、その商品を積極的に売ることで会社の利益に貢献し、さらにはビジネススキルを高めていく中で、当初と同じ価格帯でありながら、その商品の機能性を改善することも実現していったそうです。

揺るぎない使命を持ち続け、それを実現していくために、戦略や戦術は柔軟に対応していく。そのことこそ、ビジネスの醍醐味だということでした。


自分自身、まさに「ブレイクスルー」していくためには、「揺るぎない使命」「ビジネスと出会う瞬間」を見つめ直していく必要がありそうです。