あの日の試合

中学の同級生で私と同じ野球部にいた旧友と、先日久しぶりに話をしました。


話題はいつの間にか、中学三年、夏の最後の試合のことに。


私は左投げということもあってか、背番号「1」で先発のマウンドに立っていました。その日は雨でグランドがぬかるんでおり、さらには初めて投げるグランドでマウンドが異様に高く感じられたため、「プレーボール」が宣言される前から違和感と不安感ばかりが募っていました。言い訳ばかりになってしまいますが、要するに、ピッチャーとしての事前準備が全く足らなかったということです。


結局私は、初回にフォアボールと悪送球で一つのアウトもとれないまま、マウンドを降りてしまいました。次のピッチャーが初回の失点を2点に抑えたのですが、それが試合の形勢を決定づけました。結局最後の夏の試合は、初戦敗退という無念の結果に終わりました。「プレーボールの前に、もう一度戻ることができたら…」と何度思ったかわかりません。


しかしながら、そのチームでサードを守り、キャプテンでもあった旧友は、あの試合に対して違う印象を持っているようでした。


「あの試合は、打ち勝つことができなかった…」


私に対する慰めもあったのかもしれませんが、同じ試合に参加していても、置かれた立場によって見え方は全く異なってくることを、改めて実感しました。