最期の言葉

最近読んだエッセイのような本は、非常に軽いノリで最初から最後まで書いてあって、不勉強な私でさえ「これはちょっと軽すぎるんとちがうやろか」と思ってしまいました。でも、あとがきの後に書いてあった解説文を読んで、おおいに考えさせられました。


作者は不治の病におかされていて、あとがきの文章にいたっては、本人が亡くなる4日前に書いたものだそうです。恥ずかしながら、そのような事前知識を持ち合わせていなかった私は、かなり驚いてしまいました。そして、自問自答しました。

「私は最期まで、こんなに楽しみながら生きていくことができるだろうか」


もちろん、面白おかしいことが「楽しい生き方」で、どんよりとした感じのものが「楽しくない生き方」という見方は一面的なものなのかもしれません。でも、この作者は、自分自身の境遇を表に出さず、それまで築き上げてきた「私の楽しい生き方」を最期まで貫かれたのではないかと思います。

「最期まで楽しむ」には、どうすればよいのでしょうか。一つのヒントが、以前教えていただいた言葉にあるように思います。

「自分一代では成し得ない大きな志を、胸に抱いて生きる」


ひょっとしたら、何かに取り組むその過程の中にこそ、常に「最期の瞬間」が含まれているのかもしれません。「まだ途中だから」と気を抜かず、常に「一期一会」の精神が大切だということでしょうか。

改めて自分自身の感性を反省し、謙虚な姿勢を忘れずに、事に取り組んでいきたいと思います。