孤独と向き合う

会社を設立して間もない頃、ある人の計らいにより、ある社長とお会いする機会に恵まれました。食事をして、偶然にも帰りの方向が一緒だったため、タクシーに同席させていただきました。そのタクシーの中で、その社長から強烈な一言を叩きつけられました。

「横山さん、しばらく山篭りしたほうがいいんじゃないかな」


それから数年が経ちますが、自分自身、特に意識していなかったものの、結果的にはその後の時間は、主に「山篭り」をしていました。「そういえば今月、仕事以外で誰かと話をしただろうか」と振り返ってみると、コンビニの店員さんと「弁当は温めますか?」「あ、はい」という会話くらいしかしていないことに気づくこともありました。

つまり私は、街の中にいながら、「山篭り」をしていたわけです。誰とも会わず、誰とも話をしないまま、時間だけが過ぎていきました。そうして、嫌でも「孤独と向き合う」事態に直面していきました。


今振り返ってみると、私は非常に恵まれていたと思います。以前、ある書店に立ち寄ると、「孤独」に関連するコーナーが設けられていました。ひょっとしたら、今の日本において、「孤独」は隠された共通のテーマなのかもしれません。そして、「孤独」関連の本が売れるということは、誰もが「孤独」に直面しているのではなく、「なんとなく孤独感が襲ってくるのに、日常生活に追われて、『孤独』と正面から向き合うことができない」という人が多いことを意味しているのかもしれません。

そういう意味で言えば、私は嫌でも「孤独と向き合う」時間を持つことができました。しかも30代でそのような時間も持つことができたということは、非常にありがたいことのような気がします。


「闇に光を当てれば、闇は闇でなくなる」

以前、ある先生から教えていただいた言葉です。「孤独」という闇に光を当てることで、「孤独」という闇は闇でなくなるということでしょうか。