私が起業した理由

起業する理由は人それぞれだと思いますが、私が起業した理由を一度整理してみたいと思います。

私が起業した理由は何か。それは、大きく2つに分かれると思います。「タテマエ」と「ホンネ」ではなく、「表層的な理由」と「深層的な理由」です。「表層的な理由」とは、他人に聞かれたときに「私はこういった理由で起業しました」と表にさらけ出すような理由です。それは「タテマエ」とは異なり、「本当にそう思って起業したし、今もそう思って仕事に取り組んでいるけれど、それだけではないような気がする理由」と言ったらよいでしょうか。例えば、「ITを活用して、多くの人を幸せにする」といったように、「経営理念」として掲げられるようなものです。


そしてもう一つは「深層的な理由」ですが、これは「ホンネ」とは異なります。「起業当時は自分自身全く気づいていなかったけど、実際に起業してみて徐々に経験を積んでいくうちに見えてくる深層意識の理由」です。「自分以外の【何か】が私に働きかけ、起業へと導いた理由」と言ったらよいかもしれません。

大学院の先生からは、「仕事に臨むにあたり、【Hidden Agenda】(隠された課題)を見出し、それを乗り越えていくことが大切」だと学んできました。そして、この【Hidden Agenda】というものは、起業理由においても、もっと大風呂敷を広げれば、生きていく理由においても、非常に大切なものであるような気がします。


だからこそ、ここで整理しておきたいのは「深層的な理由」です。これは非常に繊細な部分でしょうから誤解の種になるだけかもしれませんが、今の自分が考えていることを一度ブログ上で整理してみることで、今後さらに前向きな姿勢で仕事に取り組んでいけるようにしてみたいと思います。

私が起業した「深層的な理由」とは何か。それは当初、自分では【全く見えていなかった】のですが、その大きな理由の一つとして、「孤独感と真剣に向き合うため」が挙げられるのではないかと思います。というのも、起業した当時、私は「孤独感から逃れられる生活を手に入れたい」と無意識に思っていました。それは、仕事に取り組む同志であったり、家族を育んでいくパートナーであったりしました。


でも、今になって実感することは、「孤独感から逃れたいと思えば思うほど、孤独感が追いかけてくる」ということです。「同志がほしい、家族がほしい」という思いは、表層的には前向きな態度だったかもしれませんが、深層的な部分では「孤独感から逃れたい」という後ろ向きな態度であったように感じます。そして、深層意識の中で後ろ向きなマインドセット(心的態度)を取り続けていたために、ずっと孤独感に追いかけられるという事態に陥っていたのかもしれません。また、深層意識の中で後ろ向きな態度を取り続けていたばかりに、いつまで経っても自分に自信が持てず、謙虚になれず、「自分本位な自分」「自分勝手な自分」であり続けていたのかもしれません。


起業してしばらく経ったとき、強烈な孤独感に襲われました。なんとかそのような心の状態から逃れようとしましたが、自分ではどうすることもできません。いよいよ「逃げ場」がなくなったような気がして、仕方がないので「とことん孤独感と、真剣に向き合ってみよう」と思うようになりました。そして、そうこうしているうちに「孤独感と真剣に向き合おうと思えば思うほど、逆に孤独感を感じなくなる」という感覚を持つようになってきました。


つまり、私が「孤独感と真剣に向きあうため」には、起業する必要があったのではないかと思います。当初、そんなことは全く思いもよらないことでしたが、今では非常にありがたいことだと感じます。


「孤独感と真剣に向き合っていく中で見えてくる課題を、いかに乗り越えていくか」が、今後の私にとって非常に大切な【Hidden Agenda】であるように思います。