モラトリアム体質の反省

福島原発問題のことをいろいろ考えていると、今大人である私たちが一番反省しなければいけないことは、「モラトリアム体質」ではないかと思えてきました。


福島原発問題はまだまだ予断を許さない状況が続いていますので、現在進行形の状況を見守っていく必要がありますが、この被害がどのくらいに及んだのかを結論付けるのは、数十年後に設定すべきことのようです。もちろん、今は「すぐに問題があるのかどうか」が一番の優先順位だと思いますが、本当の被害を考えるなら、20〜30年後の日本に、あるいは日本人に、どのような影響を及ぼすのか、という視点を疎かにしてはいけないということなのかもしれません。

放射性物質を被曝して甲状腺癌等の癌を発病するまでには、平均20年以上かかるという見解があるようです。実際、チェルノブイリ事故においても、事故当時乳幼児だった人が20代になって甲状腺癌等を発病して亡くなる事態が発生しているようです。


今回の問題は、「モラトリアム体質の日本国家」を脱却できるかどうかが問われているような気がしてなりません。「すぐに被害を受ける人をできるだけ少なくして、数十年後に現れるかもしれない被害に対しては、そのときの世代に委ねてしまおう」という体質を、「今すぐ悔い改めよ」と叱責されているような気がします。

それはもちろん、国家の莫大な借金問題についても同じです。「今すぐ借金問題によって重大な局面には陥らないだろうから、問題が現実のものとなったときの世代に解決を委ねてしまおう」とすることの身勝手さを、今回の問題を通して大いに顕在化させているような気がしてなりません。


残念ながら、「モラトリアム体質」は何も日本国家だけではなく、私自身にも当てはまることを猛省する必要があるみたいです。「おっさん」になった現在においても、すぐに自分との約束を反故にしてしまうのは、やはり私自身の「モラトリアム体質」、もっとはっきり言えば「甘え体質」が大きな要因であると反省します。

次の世代、さらにその次の世代の人たちに、今の私たちが残せるものが原発問題や莫大な借金問題だけであるとしたら、これほど情けないことはありません。自分自身の反省として、これからの世代の人たちに何かよきことを引き継いでいけるよう、しっかりと今を生きていきたいと思います。