勝負が決したとき

将棋をインターネットテレビで見る面白さは、勝敗が決まるまでの過程を観察することにあります。もちろん素人の私からすれば、一手一手の意味合いは解説者に委ねなければなりませんが、さまざまな変化がある中でどのような選択をするのか、その一手一手に興味が尽きません。


最近では、棋士の「勝負めし」も話題となっており、どのような食事を摂って長い頭脳戦に挑んでいるのかを知ることも楽しめる要素となっているのでしょう。


先日、羽生竜王が「負けました」と言って投了したあとの姿が、非常に印象的でした。もちろん、目の前の棋士やインタビュアーに対して失礼のないように対応されていましたが、体中から悔しさが滲み出ていて、抑えきれそうにない感情を必死で抑えている様子が痛いほど伝わってきました。


やっぱり羽生竜王は、今でも負けることが嫌なのだろうな、ということを理解しました。「将棋の可能性を広げるために、目の前の一局を落とすことはそれほど苦にならない」といった主旨のことを仰っていたかと思いますが、逆に言うと、自らのミスで勝てた一局を落とすとなると、「悔しくてたまらない」ということなのでしょう。


「負けたくない」というよりも、「自らのミスで負けたくない」ということは、すべてのプロに共通する感情なのかもしれまん。自分自身、「自らの弱さによって、悪い状況をつくり出したくない」という意識は、常に持っておく必要があるのではないかと反省しました。