6連敗

昨日、藤井聡太二冠と豊島将之二冠との対局があり、またしても藤井二冠が豊島二冠に敗れ、これで豊島二冠に対して公式戦6連敗となりました。藤井二冠のファンである私自身の気持ちを整理するために、あまり意味はありませんが、なぜ6連敗したのかを整理したいと思います。

 

今回の対局は残念ながら無料のインターネット放送をしていなかったので、結果をネットニュースで知っただけですが、解説者のお話では、序盤・中盤を通して藤井二冠がリードし、終盤の勝勢の局面で豊島二冠に粘りの手を繰り出されるうちに緩手を連発してしまい、大逆転負けしたようです。

 

私自身は、現在の藤井二冠が豊島二冠との対局を通して得るものは非常に大きいと思っていますので、今回の敗戦も今後の大きな糧にすればそれほど結果を気にしなくてもよいのではないか、と考えている者の一人です。ただ、今回の対局に限らず、最近の藤井二冠は、勝勢の局面で緩手・悪手を指してしまい、逆転を許すことがしばしばあるようです。

 

たまたま対戦者が逆転の一手を拾うことがなかったので、表面上は大事に至らなかったという対局が(あくまでも素人考えですが)最近多いように感じます。詰将棋で鍛えた終盤の正確な読みが藤井二冠の最大の強みであるにもかかわらず、なぜそのような状態が続いているのでしょうか。

 

これが、スランプというものなのかもしれません。他の棋士よりも読みの速度が速い分、いろいろな手が見えてしまい、勝勢の局面で確実に勝利に至る手を見落とし、他のいろいろな手を読んでしまうことが、現在の藤井二冠の落とし穴になってしまっているような気がします。

 

藤井二冠は、このスランプをどのように克服すべきか。その答えは、素人の私にはわかりませんが、一ファンとして勝手なことを言わせてもらうと、そろそろ藤井二冠も「大局観」と真剣に向き合うべき時にきているのではないかと思います。

 

今回も、1分将棋になってからの大逆転負けですので、どんなに読みの速度が速い藤井二冠であっても、すべての手を読み切ることは物理的に無理な状況でした。読みの深さ、読みの柔軟さに磨きをかけつつ、「指運」とも呼ばれる「大局観」を藤井二冠が今後どのように鍛えていくか。

 

その課題が突きつけられている気がします。今回の対局は、まさに「将棋で勝って、結果で負けた一局」だったようです。でも、もしそうであるなら、ボールは豊島二冠にあるのではなく、藤井二冠の手の中にあります。自分の中に克服すべき課題がある以上、藤井二冠はその課題を乗り越えていくのではないか。

 

そのことを、期待したいと思います。