自分の中の鬼

最近になって実感したことがあります。それは、「自分の中に鬼が潜んでいるなあ」ということです。私は、学生のときには少し短気だと言われたことはありますが、特別怒りっぽいわけではないし、今まで街を歩いていて職務質問をされたこともないし、どちらかというと地味目な感じの「普通の人」として、普通に生活しています。

でも、そんな「普通の人」を認識している自分自身の中にも、鬼は潜んでいるようです。どうしてなのでしょうか。


自分の中の「鬼」を意識するようになったのは、本当に些細なことですが、あるとき、批判の矛先が自分に向けられていると感じたことがきっかけです。そのとき私は、条件反射的に「いや、相手のほうが間違っている、相手のほうがよくない」という心の方向性に、自分自身の中で、高速回転で動き出していることを感じました。

そうなったら、特別頭を働かせようとしなくても、湧き上がってくる感情とともに、相手の駄目なところ、欠点と思われるところが、どんどん浮かび上がってきます。そして、よくよく考えてみても、自分の感情の高まりとともに勝手に浮かび上がってくる「相手の駄目さ加減分析」は、それほど的をはずれてはいないし、むしろかなりいいところをついているとさえ思います。


ただ、そのときに気づいたのは、相手の欠点が自然と浮かび上がってくるときには、逆に相手の長所が全く見えなくなっているということです。つまり、相手を全否定している「鬼」の自分になっていることに気づきました。少し冷静になって考えれば、自分より相手のほうが優れているところがあることは明らかなのに、それが見えなくなっています。ある出来事、ある一面だけを切り出して、自分自身を正当化しようとするとき、自分の中の「鬼」が働き始めるようです。

自分の中の「鬼」が働き始めるのは、自己防衛に対する本能みたいなものなのでしょうか。自分のことは自分で守っていかなければいけないから、自分が切られそうになったときには、防衛本能として、過剰に相手を切りつけようとしてしまうのかもしれません。


自分の中の「鬼」とも、うまくやっていく必要がありそうですね。