藤井聡太二冠の凄いところは、高校生ですでに退路を断っていることです。高校中退のニュースから、そのことを実感しました。
退路を断つ、ということは、精神論だけなら誰でも取り入れることができますが、それを実際の行動レベルにまで落とし込もうとすると相当な勇気が必要です。
また、実際に退路を断ってしまったばかりに失敗する人のほうがはるかに多いのではないでしょうか。中途半端な気持ちであるなら、退路を残しておくのも人生設計の知恵かもしれません。
退路を断つ、ということは能動的な行為ですが、いつの間にか退路が断たれてしまっている、ということもあるかと思います。最近、「自分自身は退路を断つつもりはなかったのに、知らず知らずのうちに退路がなくなっていた」という状態を想像することがあります。高齢になればなるほど転職できる機会は少なくなっていくからです。そして、こちらのほうが実は普遍的であり、現実の世界そのもののような気がします。
何かに取り組んでいるとき、実はそれ以外の無限に広がる可能性の扉に蓋をしている現実を、なかなか気づくことができません。たからこそ、目の前の課題に取り組むときは、その他無限大の可能性の分までやってやろう、という気持ちを持つことが後悔しない生き方につながるのかもしれません。
これも、実際にはなかなか難しいことではありますが、退路を断つ、という生き方を身近なものにするコツのような気がします。